ブロックチェーン①~21世紀の革命

しばらく更新をサボってました。一向に仕事が落ち着かないどころか、ますます炎上気味な上に寄る年波には抗えず気力・体力も削がれる一方の今日この頃でした。このまま2015年を終えるわけにはいかないと思い、新たな試みとしてシリーズで記事を投稿するという無謀な企画を始めてみようと思います。題して「21世紀の革命」!

どうせ3日坊主で終わると思った方、恐らくその予測は半分どころか7割方間違いないと思いますが、とにかく宣言して始めることに意味があるという、よく言えば前向き、悪く言えば無責任なローストレスマインドで頑張る?所存ですので大変おヒマな人は気が向いたときにお付き合いください。

主にテクノロジーを軸として人間や社会に及ぼす影響と変化、その意味や来たる未来について愚考しつつ、希望と愚痴を語ろうという趣旨です。

栄えある第一回のテーマは「ブロックチェーン」です。あまり聞き慣れないかもしれませんがテクノロジー関係の人は最近よく聞くことも増えてきているのではないでしょうか。では「ビットコイン」についてはどうでしょう?こちらはMtGoxの破綻で派手に報道されたりしているので聞いたことがある人も多いのではないかと思います。このブログでも以前に記事を書いています。

ビットコインの可能性と限界

大手新聞社の中にはMtGoxの元CEOマーク・カルプレス氏の逮捕を「ビットコイン社長逮捕」などと掲げてセンセーショナルに報じていましたが、そもそも氏は「ビットコイン社長」などではなくあくまでMtGoxという取引所の社長でしかなく、ビットコインのコミュニティには「社長」などという責任を負う人物は存在しません。そのような責任者がいなくても機能する仕組みを実現したのがビットコインとその核心技術であるブロックチェーンの革新性なのです。「ビットコイン社長逮捕」の一件は日本の大手新聞社の一部がいかに乏しい知識と見識で適当な記事を垂れ流しているかという証拠とも言えますが、もしかすると知っていてわざとそういうタイトルにした可能性もあります。だとするともっとタチの悪い悪党に近いと思いますが、ここではそれについては追求しません。

責任者がいなくても機能するとはどういうことか。例えば円は正式には日本銀行券と呼ばれており日本銀行が発行していますが、そのただの紙切れに対する信任は政府という権力に裏付けられています。つまり政府や内閣総理大臣がその価値保証の責任を負っているわけです。内閣総理大臣は民主制によって裏付けられた権力(立法・行政・警察)で円の利用に関する不正を正すことができるので、人々はそれを信じて安心して円を使うことができます。権力基盤の安定した国の通貨はその信用も価値も高く保たれます。首相は円の価値保証の責任者とも言えるわけです。(安倍首相や黒田日銀総裁はリフレを標榜して憚らない人達なのでかなり不安ですが)

ビットコインもお金の一種と考えられていますがその価値はどのように保たれているのかといえば、実は円と同じで民主制です。多数決によってその価値を保持していると言えます。ただ、決定的に違うのは、人々の代表者たる権力者の力によって「正す」のではなく、全員が参加してその正しさを「計算」する仕組みになっている点です。円が間接民主制だとすれば、ビットコインは直接民主制に近いと言って良いかもしれません。文字通り責任者がいないのです。

その仕組みは複雑なのでここでは少し抽象的に表現してみたいと思います。

政治の世界で直接民主制が実現できない理由は普通に考えればすぐわかります。あらゆる全ての政治的決定に対して全ての人間が参加して正しい前提知識の元で賢い判断を下すなどということは不可能です。しかし、ある限られた問題について厳格なルールに基づいて機械的に判断を下すくらいなら全員でできるかもしれません。ビットコインはコンピュータネットワークを使って厳格でシンプルなルールの元に全員がその正しさの保証に参加するための仕組みとして「ブロックチェーン」を生み出しました。

ブロックチェーンは電子分散元帳とも呼ばれるように、あらゆるところに均等に散らばった同一の取引元帳だと考えると理解しやすいと思います。つまり全ての人の取引履歴(元帳)が全ての人に共有されている状態です。全ての人が同じ情報を持っているので悪意のある一人がその人の持つ元帳を書き換えたりしても、他の人の元帳と比較して正しくないことが分かるのですぐに不正がバレます。元帳が正しいかどうかを決めるのは多数決なので不正な改ざんを成功させるためには全てのブロックチェーン参加者の半数以上が全く同じ不正に同意しなければいけません。そんな事はほぼ不可能なので不正は大変困難だと考えられています。また、何らかの災害などでネットワークかダウンしても元帳が世界中のコンピュータの中で一つでも生き残っていればそれをコピーすることで復活できるので非常に堅牢な仕組みであると考えられています。

このような技術の確立には昨今のネット通信の高速化やプロセッサの計算性能向上が寄与していることは言うまでもありません。元帳であるブロックチェーンは暗号技術で守られており、全ての情報の取引は公開されて検証できるにもかかわらず、その情報の所有者については本人以外誰にもわからなくなっています。全ての情報が異なる鍵で暗号化されており、それを解くことができるのは秘密の鍵を持っている所有者だけだからです。取引の情報は時間で区切られたブロックの中に記述されており、それを数珠(チェーン)のように繋げていきます。あるブロックの情報はハッシュ(ある特定の入力に対して逆算できない一意な計算結果を出力する計算方法)にかけられ、その結果が次のブロックの中に含まれるため、特定ブロックだけを改ざんすることはできません。無理やり改ざんしたとしても後に続くブロックが整合しなくなるので計算すれば改ざんされたことがわかります。

では、あるブロックに偽のブロックを繋げて二重に取引情報を発生させてみてはどうでしょうか?それを防ぐのがコンピュータネットワークでつながった無数の監視者です。監視者は全員がブロックチェーンを共有しており、その正しさを計算し続けます。新しい取引が発生した場合はその取引が不正な二重取引でないかを計算し、最後は多数決で正しいチェーンが決まります。監視者の一人が不正な取引を「正しい」と嘘をついたとしても、他の大多数の正直な監視者の検証に寄って嘘であることがバレてしまいます。嘘のチェーンは最終的に破棄され、正しいチェーンだけが維持されるのです。

ビットコインは監視者にならなくても使えますが、多数の監視者がいないと仕組みは成り立ちません。監視者は誰が担うのでしょうか。ビットコインではそれを自ら進んで担う人たちが無数にいます。なぜならその役割を担う参加者は報酬としてビットコインを獲ることができるからです。監視者になる行為を別の呼び方で「採掘」と呼ばれるのはそのためです。明確なインセンティブ構造を仕組みに組み込んだことで監視者を維持できるようになったわけです。

ひとことで言えば多数の参加者の善意をもって少数の参加者の不正を完全に排除することができる画期的な仕組みが発明されたことになります。これは革命的と言って良いのではないでしょうか。このような性質をもつブロックチェーンですが世の中に具体的にどのような「革命」をもたらす可能性があるのでしょうか。次回深掘りしたいと思います。

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