iOSの革新

iPhone4Sが発表され、スティーブ・ジョブスが亡くなり、iOS5とiCloudがリリースされました。ここのところテクニカル系のニュースではapple関連の話題で持ちきりでした。appleの一挙手一投足がここまで世界中から注目されているというのは昔を知る世代からすると本当に驚きです。近年のappleはそれだけ大きな偉業をなしてきたという事だと思います。

さて今度の目玉は当然iPhone4Sという事になるわけですが我がiPod touchの方はホワイトモデルが出て安くなっただけで特に大きな変化はありませんでした。appleがiPodの今後をあまり本気で発展させる気が無いとすると悲しいことですがどうなんでしょう?自分としてはA5とSiriを搭載した次のiPodを出してくれることを期待しているのですが…。

どうしてもダメならiPhone4SかそのあとのiPhoneを買うしかなくなりますが正直「Phone」は要らないのです。ネットはWiMAXで十分なので携帯会社と余計な契約はしたくない。SIMフリー版を買うという手もありますが、値段が二倍近くになっていてほとんど買うなと言っているに等しい。あれは明らかに携帯キャリアを守るための戦略的な価格なんじゃないかと思います。しばらくは様子見となりそうです。

iOS5ではiCloudとの連携でさらなる進化を遂げました。ただスマートフォンという商品がクラウドサービスとセットで発展してきたのは今に始まった話ではない訳で、革新的という程ではなく、むしろgoogleの主戦場であるクラウドにようやくappleも本気で殴り込みをかけにいったという事だと理解しています。

それより音声応答アシスタントのSiriのデモを見た時には 流石に革命的と言わざるを得ないと思いました。ここまで来たかと。ただ学生時代に自然言語処理の研究を少しかじっていたので分かりますが、デモでやっていたようなAIというのは10年以上前から既に完成していたと言ってもいいと思います。凄いのはこの機能を手のひらサイズのデバイスで違和感無く統合されたインターフェースとして実現している事です。

ひとえにプロセッサとネットワークの処理能力の向上、クラウドサービスの充実のおかげだといえると思いますが、僕は陰で支えるOSもその重要な担い手であることを挙げたいと思います。Siriがアバウトな質問に的確に応えられるのはOS内の情報やインターフェースがシンプルに整理されているからだろうと推測出来ます。またCPUやメモリなどの資源を無駄なく適切に管理しているからこそ、あのような「重い」処理をスムーズに実行できるのでしょう。

一年程前にiOSについて調べたことがあるのですが、マルチタスク、メモリ管理、バックグラウンド処理などの設計思想が明らかにそれまでの常識を破るものだったことに驚きました。それまでのモバイル用OSは過去の常識的なPC向けOSを小さくしただけのものか、いわゆる組込OSと呼ばれる原始的な仕組みのものの二つしかありませんでしたが、iOSはジョブスが「reinvent(再発明する)」と言ったとおり、iPhoneというそれまでにないまったく新しいデバイスを実現するために、求められる「ユーザー体験」から逆算して根本から設計し直したOSでした。これは大きな転換点だったと思います。これが実現出来たのは本当に必要なもの以外の重要ではない枝葉のことをバッサリと切り捨てることの出来たジョブスのある種冷徹なまでのこだわりがあったからだと思います。appleという会社の中では本当に厳しく苦しい営みがあったのだろうと想像します。

ジョブスの評価については様々ありますが、僕はその個性や人間性と言うよりも経営者としての冷徹さに畏怖を感じます。同時に今の日本にはいない、なかなか現れないタイプのリーダーだったと思います。

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