iPod touchで050plusを使い始めていくつかの問題点も見えてきました。今回はそれについて書いてみたいと思います。
●iPodは電話じゃない
当たり前ですが、iPod touchは電話として設計されていません。3rd Gen以前は内蔵マイクもなく、4th Genでもスピーカやマイクは電話用の配置になっておらず耳に当てて使うようなスタイルでは使えないのです。ちょうどiPhoneとは逆の配置になっているので逆さにして裏返せばなんとかできなくもないですが、音声がダダ漏れになるのでちょっと公共空間では厳しい。使うときはFaceTimeのような対面スタイルかマイクつきのイヤホンなどを繋いで使うことになります。また、当然バイブレーションなどはありません。なので使い勝手にこだわる携帯ヘビーユーザにはお勧めできません。僕のように月に数回も電話しない人ならなんとか我慢できるでしょうか。
●Bluetooth HFP/HSPに対応していない
上記の問題があるため小さなBluetoothヘッドセットを使ってフリーハンドで会話ができるといいのですが、これがなぜか対応していない。事情はよく分かりませんが、今後のアップデートで期待したいところです。これができるようになるとかなり使い勝手が向上します。
⇒2012/6/18にようやくHSPに対応しました!ただし、iPhoneの場合iOS5以上とのことです。HFPに対応していないのはちょっと残念ではありますが、一応一歩前進ということですね。HSPなので着信時はヘッドセット側で応答するのではなく本体側で一度通話状態にした上でソースとしてBluetoothを選択する形になるみたいですね。着信・応答までヘッドセットできると理想的な操作性になるんですが、技術的に難しいんでしょうか?FaceTimeができるくらいなんでできそうなもんですが何か大人の事情があるのかもしれません。
●待ち受け、着信の問題
モバイルIP電話が激安にもかかわらず普及しない理由の8割はここにあると言っても過言ではありません。携帯電話というのは常時フル出力で基地局と繋がっているわけではなく、着信待ち受け中は低消費電力状態で着信信号を待っています。信号をキャッチして始めてフル出力で基地局と繋がって通話を行います。携帯の無線ネットワークとプロトコルにはこの仕組みがあるので待ち受け、着信の使い勝手の良さを実現できています。
他方、WIMAXのようなサービスでは着信信号のような仕組みはないので基本的に最初からフル出力で基地局と繋がった状態にしないとIP電話の待ち受けは出来ません。(※1) 無線LANのホットスポットのような所に常時いるならば問題ないですが移動体通信サービスを常時繋ぎっ放しにするという使い方はバッテリーを消耗するため、長くとも数時間が限度です。
この問題は残念ながら未解決ですが昨今の技術の進歩とネット環境の改善を見ていると希望もあります。WIMAXではメーカー各社がモバイルルータを販売していますが性能は年々向上し、低消費電力、長時間駆動が実現しつつあります。最新のモデルでは連続9時間駆動が可能でエネループなどと組み合わせるとその二倍程度の連続稼働が可能です。これなら一日分の着信待ち受けも不可能ではないし、今後のさらなる持続性能向上も期待できます。
また、僕のように電話をあまり使わない、仕事中はマナーモードでカバンの中に入れて留守応答がデフォルトの人、帰宅すればブロードバンドのWiFi環境がある人であれば必要なモバイルルータの稼働時間は実質通勤時間のみとなります。これならば実用の範囲内になんとか収まります。
050plusでは着信が繋がらない場合を考慮して留守番電話のサービスもセットで無料提供しています。しかも着信があった事をメールで知らせてくれたり留守電の録音音声をメールに添付して送ってくれる親切機能も無料で使えます。
10数年以上前は携帯電話なんかなくて連絡はすぐに取れなくて当たり前だった訳ですから、着信においてこの程度の不便は自分の場合は許容可能です。むしろ仕事中に関係ない電話がかかってきても迷惑なだけです。本当に緊急であれば会社に掛ければ良いのです。昔の人はそうしてきました。それが億劫なのであればそれはそれ程重要、緊急な要件ではなく 、メールで事足りる事に違いありません。
まあ、多少無理矢理な論理ですが本質を突いているのではないでしょうか。考え方を少し変えると私達は本当はそれ程必要のないオーバースペックな機能に高いお金を払わされているのだという事実に気付きます。 着信にそれ程こだわらない人はそれなりの安価な選択肢があってしかるべきなんですが、現実には今まで相応の選択肢はありませんでした。
050plusの登場によってようやくその選択肢の強力な候補が現れた事は重要です。このサービスがドコモなどからの圧力によって潰される事がないよう切に願います。(※2)
追記:
(※1) WIMAXには送信のみOFFにして受信だけON状態でブロードキャストメッセージを待つ「アイドルモード」というのがある。しかし、これが端末に実際に実装・運用されているのかどうかは不明。少なくとも自分のルータにはそんな機能はない。
(※2) LTEやWIMAXなどの「3.9G」ではなく本家「4G」の肝はオールIP化にあるわけで、それは乱暴に言えば全てのサービスが言わば「050plus化」することに等しい。しかし、本当にそんなことができるのだろうか?4G化を目指す上で携帯キャリアは「土管化」することも恐れているはずだから、そう簡単にはいかないのではないかと思う。
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