2019年雑感

2019年もあと数時間となりました。毎年のようにカクカク詐欺をやっていますが、今年も例年通りほとんど記事を書けないまま終わってしまいました。本当は書きたいネタなどがたくさんあって、下書きをしていた記事もいくつかあったのですが、今年は(というか今年も)ブログよりも優先度を上げているタスクが多く、ほとんど書けず仕舞いでした。このまま2019年を終わっては今後のブログの継続も危ぶまれるため、大晦日の夜にこの一年を振り返り、適当に雑感を書いてみたいと思います。

雑誌記事の執筆

2019年の最も印象深いできことと言えば、やはり雑誌記事の執筆でしょう。2018年にITmediaさんへ連載記事を寄稿してから、半年もしないうちにWEB+DB PRESSの記事執筆が決まり、2019年の最初の数か月は本業の仕事の合間に記事執筆作業を進めるという二足のわらじに初挑戦しました。これがなかなかに苦しい作業だったのですが、技術評論社さんのソフトウェア開発にも似た先進的な編集作業フローに感銘を受け、 その大変さに見合うだけの非常に多くの刺激と学びを得ることができたと思っています。私の本業は組込みソフトウェア系のSE・プログラマ職で、もともと多くの人に「分かりやすく読んでもらえる」文章を書くことは殆ど訓練してきませんでしたが、そこはプロの編集の凄いところで、私の理解しづらい文章も、適切な編集により雑誌記事として耐えうる内容に仕上げてくださりました。

来年も執筆活動については続けるつもりです。一応、次の企画もあるので二足のわらじを維持しつつ、多くの人に読んでもらえるような読み物をお届けできるように頑張りたいと思いますので、気長にお待ち頂ければ幸いです。

本業の動き

本業においても2019年は非常に多くの変化があった年でした。まず年始には社内で2018年の働きに対する賞を頂き、それまで「頑張ってきて良かった」という思いと「これまでの取り組みは間違っていなかった」という自分なりの思いを再確認することができました。これはとても大きなことです。

2018年までは自社グループの製品のお仕事を続けてきたのですが、2019年からは遂に外のお客様からお仕事を頂くことになりました。しかも開発する製品も今までのオフィス系から車載系に転向することになり、これまた非常にたくさんの勉強をすることに。何もないところから少しづつ経験を積み上げてきた一年でしたが、まだ知らないことも多く、来年以降も研鑽を続けることになりそうです。

立場的には、自分の担当業務に集中するよりも、チームやプロジェクトの最適化を考えなければならない位置になりつつあり、その点においても経験の浅さが目立ち、この一年の大変さを増していたようにも思います。もともと少人数プロジェクトで技術スキルを中心に貢献するスタイルで仕事をしてきたことが多かったので、現在のプロジェクトの規模間や役割に慣れるまでは、もう少し時間が掛かりそうな雰囲気です。

20年近いエンジニア稼業の中で困難な状況も力業で乗り切ってきたことも多かったのですが、流石にそういった無理ができるような歳でもなくなってきたので、来年は自分のできること、できないことを上手く見極めて、人の手も借りつつ、ストレスを貯めない程度に仕事の幅を拡げられたらいいな~と呑気に思っています。

業界と社会の動き

あらゆる業界において破壊的なデジタル化の波が押し寄せている現状の中で、今年は世論や価値観も大きく変化した年でもあったように思います。特にDXを推し進めるためのエンジニア不足が叫ばれて久しい訳ですが、単に「エンジニアの数が足りない」というより、AI/データサイエンス/IoT/セキュリティ/ブロックチェーンなどなど先端技術をビジネスにまで落とし込むことができる、といった意味での質的な枯渇感が顕著になりつつあり、「なぜIT分野で欧米や中国に負け続けているのか」という疑問が前提抜きでより一般的問いとして議論されるようになってきたのではないでしょうか。そんな議論の中で日本におけるITエンジニアという職業の特殊性も浮き彫りになり、その構造的問題にも目が向けられるようになってきたように思います。

昨今、大手企業などの一部で年功序列的な賃金体系を改めて、市場価値に基づいた報酬を支払う制度が始まっており、GAFAと同レベルとまでは行かずとも、エンジニアの働きによっては高額な報酬で応じるケースが生まれているようです。トヨタの社長も経団連会長も今後は年功序列賃金制度の維持は難しいということを表明しています。このままでは優秀なエンジニアを全てGAFAに持っていかれてしまう、という強い危機感が業界に巻き起こっているためです。

こういった変化は、会社員生活が長い私などよりも、これから活躍する若い優秀なエンジニアにとっては大きなチャンスであり、大変望ましい変化だと思っています(個人的には「もっと早くやって欲しかった」という思いもありますが)。ただ、日本社会全体で見たときにこういった動きが本当に歓迎されて推進されていくのだろうか?という一抹の不安も残ります。なぜなら現状の日本の社会・経済の仕組みはそれぞれが強固な依存関係にあり、それなりに合理的な理由のもとに組み立てられているものなので、一部だけを都合よく欧米のように変えて良いとこ取りをしよう、という試みは過去にも沢山試みられてきましたが、ほとんどが盛大に失敗してきました。その二の舞になりやしないか、と2000年代を駆け抜けたオジサンは危惧する訳です。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の「トランスフォーメーション」とはビジネスモデルや会社組織の在り方、ひいては社会制度そのものの革新を意味しているのであり、エンジニアが不足しているというよりは、そのような変革を阻む壁に少しでも立ち向かい全体最適を志す人間が不足しているということなのだと思っています。もちろんこれは壮大なブーメランであり自分もそのような人間にはなりきれなかったことを懺悔せざるを得ません。ただ、少なくとも今後起きるであろう変化に対して、足を引っ張るようなことだけはしまいと誓い、微力ながらも援護射撃できる程度にはなりたいなという思いを胸に新年を迎えようと思います。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

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