考えなければならない問題

前回の記事でアベノミクスを支える基本的な現状認識は幻想だという話をしました。こういった話は立ち位置がハッキリしないとなぜこういうことを述べているのか分かりにくいと思うので、もう少し掘り下げて書いてみます。

僕は現在、製造業の片隅で生業を得ており、おもに日本の製造業がこれからどうなるのかということに関心があります。アベノミクスは良い悪いにかかわらず自分に少なくない影響を与える政策だと言えます。特に輸出で食べている企業にとって為替の動きは死活問題なので常に気になる話題です。なので世界の経済がどういう動きをしているのかについては自分なりにない頭を捻りながらもごく常識的、現実的な感覚を養ってきたつもりです。

アベノミクスは金融と財政の力で「デフレを脱却」することを目指している訳ですが、僕の感覚からするとその認識は本質からズレまくっており「このままだとヤバイ」と直感的に感じ、前回の記事を書きました。日本の政治がズレまくっているのは今に始まった話ではないので驚くような状況ではないのですが、むしろ近年の政治では稀有な成功を収めているかのように見えており国民の支持率が7割に達しているといった状況こそ危機感を抱く核心部分です。

今のデフレは金融緩和程度で解消するような貨幣的現象ではなく経済の構造的、原理的な問題なので、その現実に向き合う必要があると思うのですが、多くの人は「日本経済の実力はもっと高いはずで円高デフレで不当に貶められている」と考えているようです。しかし様々な指標を眺めてみて、どうひいき目にみても日本の現状が実力以下にあるようには見えません。実力通りか、あるいはそれ以上にあるかもしれません。

問題は日本を取り巻く環境が激変していることにあるので、それにどう適応していくのかを考えなければ道は開けないというのが僕の立場です。もちろん、そんな事は皆分かっていてそれぞれ精一杯頑張ってる訳ですが政府がどこを見てどこに向かうのかが本質からずれていると、結局、意図せずして経済の足を引っ張り努力は水泡と帰すかもしれません。そして実際にその危うさを強く感じています。

政府には次のことを最優先課題としてはっきりと認識して解決、緩和に取り組んで欲しいです。

●先進国と新興国が等しい経済力に収斂することは必然で避けられないし無視すべきでない。デフレはその流れで理解すべき。

●テクノロジーの急速な進歩や機械化が単純な労働力の価値を下げる圧力になりつつある。その流れは想像以上に速く進んでおりその過程で格差は拡大する。

これらはSFの世界ではなく現実に起こりつつある事なのでこういった共通認識を持てるかどうかが社会を健全に持続できるかどうかの鍵になると思います。

コメント

  1. KOKO より:

    かこグランマさんとマイミクでたどってきました。

    政治には無知なのですが関心はあります。

    エネルギー革命に置いては原発には賛成ですか?あれも元々は化石燃料エネルギーを必要とするものでしょうか?

    TPP加盟は日本にとって不利なのではないかと思いますが、どう思われますか?

  2. haj より:

    >KOKOさん

    気付くのが遅れましてすみません。

    率直かつ核心的なコメントありがとうございます。

    原発は今後のエネルギーを担う主力としてベストなのかどうか。これを判断することは現状では非常に難しいと思っています。使わないで済むのならそれがベストだと思いますが、今すぐやめるという判断をするためには考えなければいけない問題が山ほどあります。それをすっとばした結論は出せません。(少なくとも賛成・反対といった単純な構図では解決できない複雑な問題だと捉えています。)

    これについて書き出すといろいろ長くなりそうなので、近いうちに別記事として書いてみようかと思います。TPPについてもいろんなことを考えさせられるので一言では書けそうにありません。これも近々記事にしてみますね。

タイトルとURLをコピーしました