Weblog 10周年

本日でこのサイトを立ち上げてから10年が経ちました。

書きに書き溜めた珠玉の記事はなんとたったの227記事!1ヶ月で1~2記事という恐るべきローペース。

10年分も書いてこれだけかと思われるかもしれませんが、これが僕のペースなのです。これだけ更新頻度が低く、読む人もほとんどいないblogが一応10年も続けられているということ、それなりに時代に応じて変化していることは自分的には評価していいのではないかと思っています。もちろん読む人に優しいサイトではなく超独りよがりなサイトだったことは反省すべき点ですが(実はあまりしていない)、自己の意識の変遷を記録に残していくという最低限の機能は果たしてきたと思います。

あらためて読み返してみると記事と文章が少ない分、世の中と暮らし、思索の変化をコンパクトに追跡することができ面白いです。この間あまりにいろんなことがありましたが、ほとんどの事柄は記事にできぬままです。ですが、記事を読み返しているとその頃の経験や思い出が幾つも蘇って来ます。いわば眠る記憶を引き出すためのインデックスのような役割を果たしているわけです。

もともとこのサイトはサーバー管理やプログラミングのトレーニングが目的で立ち上げたサイトだったので書く内容について特にこだわりがなかったのも事実です。おそるべきローペースの背景には「とにかく書きたい」といったような内から湧き出る情熱がそもそもなかったことに起因しています。なので、コンテンツそのものよりもサーバー環境やサイトの使い勝手の改善などの本末転倒な作業に多くの時間を割いていました。サイトの唯一の「こだわり」を挙げるならば、それは「DIY」であると言えます。今流行りの「BYOD」ではありません。「DIY」つまり「Do It Yourself」です。個人レベルでどこまで自前でサイトを構築し現実的な運用ができるかという部分に挑戦するということです。特にもっともチャレンジングだったのは急速に変化するITやインターネットの世界にできるだけキャッチアップしていくということです。

読む側からすればなんのこっちゃというか、どうでもいい話なんですが、これは自分にとってはなかなか大変な作業でした。実際、あきらめかけたこともありましたが、なんとか今まで運用を続けることができました。そしてなにより変化を継続できたこと、これこそが長年の「こだわり」の結晶であると言えます。

記念すべき最初の記事は10年前の今日、2003年の5月2日、ちょうどWEB2.0の黎明期の頃でした。それ以前にもサイトを立ち上げたことはありました。本格的なネットとの出会いは1997年頃、大学の研究室のサーバーを間借りしてhttpdを勝手に立ち上げていわゆる「ホームページ」を作り、「CGI」でチャットシステムを作ったりして遊んでいたのが始まりです。当時は今ほどネットが一般化しておらず、なんでもありの自由な荒野だったので遊び放題でした。インターネットの基礎的な仕組みや技術のほとんどはこの頃に吸収したといっても過言ではないと思います。

その後、社会人となり就職すると当然ながらそんな遊び場はなくなり、しばらく自前サイトの運用からは離れていました。何より仕事で一日中コンピューターと格闘していたので、自分のサイトなどを作る余力も環境もなかったのです。再び自前サイトの立ち上げを画策し始めたのは社会人4年目あたりからでした。転機となったのは世の中にWeb2.0ブームが訪れたことと、ハードウエアの小型化・低価格化が猛烈な勢いで進んできたこと、そしてSE稼業によって実務的な知識とスキルが身についてきたことです。自前でサイトを立ち上げるハードルが下がり、その機運が高まったこのときにもう一度サイトを立ち上げてみようと思い立ちました。

日記立ち上げのごあいさつ

最初はServletの勉強がてらに作った日記システムだったので、ただ記事を書き溜めて公開するだけの機能しかなく、写真のアップロードやコメント機能、タイトルすらない非常に単純なものでした。記事の内容もたわいのない「つぶやき」がほとんどで日記とも言えないような代物でした。現在の状態に至るまでには何度もの機能強化と改善が必要でした。例えるなら、最初に犬小屋を作って少しずつ増改築を繰り返した結果、ようやく人が住める普通の家にまで成長したようなものです。

本サイトがこの10年でどのような変遷を辿って来たのか、以下に簡単に纏めてみました。

  • 2003/5 自宅サーバーと日記システムの立ち上げ。記事の投稿と閲覧機能のみ。
  • 2004/4 画像投稿機能とメール連携機能を追加。北海道旅行で活躍。
  • 2005/10 転職。プライベートの時間が劇的に改善。
  • 2005/11 RSSに対応。mixiとの連携を開始。
  • 2005/12 ハードウエアをmini-ITXと自作アクリルケースサーバに変更。小型化・静音化により住環境への負荷を軽減。
  • 2006/1 haj.dip.jpのドメインを取得。
  • 2006/2 累計1000アクセス。
  • 2006/3 回線をウィルコムADSLに乗り換えてランニングコストを改善。
  • 2006/4 コメント機能、トラックバック機能を追加。ほぼブログ相当に。
  • 2006/6 アクリルケースサーバの電源が故障。
  • 2006/7 アクリルケースに限界を感じ市販のmini-ITX用ケースに乗り換え。
  • 2006/11 結婚準備のため引越し。一ヶ月ほどアクセス不能に。
  • 2006/12 手続きが完了しサイト復旧。
  • 2007/6 新婚旅行でフランスへ。パリから自宅へ初投稿。
  • 2007/8 コメントの不具合改善。スパム対策も実装。
  • 2008/1 新婚旅行のシリーズ記事挫折。
  • 2008/11 HDD故障、Googleのお陰で全データ復旧。
  • 2009/1 HDDをシリコン化。さらに静音、低消費電力へ。
  • 2009/7 息子誕生。サーバどころではなくなる。
  • 2010/6-8 マンション購入、引越し、光回線に移行。
  • 2010/12 息子の襲撃で運用継続が困難に。しばらく停止。
  • 2011/1 物理サーバを廃止し、仮想サーバサービスへ移行。
  • 2011/? 順次機能強化。SNS連携や検索機能改善。
  • 2012/4 スマートフォン専用表示に対応
  • 2012/5 仮想サーバサービスのトラブルでアクセス不能。
  • 2012/? DropBoxへのデータバックアップ、Googleアナリティクス連携、人気記事、関連記事機能追加。過去記事メンテナンス機能追加。サイトデザインの大幅変更。

こうやって並べてみると、WEB2.0、ブログ、SNS、スマホ、クラウド、仮想化などのネットのトレンドを辛うじて追いかけて来た事が見て取れます。今後も細々とこの路線を続ける積りではありますが、果たして今後の10年も今までのようにトレンドにキャッチアップしていけるのか、あまり自信がないです。ITの世界はあまりに裾野が広くなり多様化、複雑化も進んでいるので個人レベルでは網羅できなくなってきています。

昨今のSaaSや勃興しつつあるAPI市場、AIの台頭などを見ているとブログというフォーマットでの情報の発信、コミニュケーションのスタイルは過去のものになるかもしれないと感じます。今まで情報と情報の関連付け、意味付けはSNSなどを通して人間が行ってきました。これからは人間に代わりソフトウェアが自動的かつ知的に関連付けや意味付けを行うようになると思います。そういう時代になった時に果たしてどれだけDIYの余地を残すことができるのか?膨大な記憶•計算資源を持つクラウドサービスに全てを飲み込まれて行くだけなんじゃないか。もしかするとブログが消えても書き溜めた過去の記憶だけは亡霊のようにクラウド上を漂う事になるのかもしれません。

何れにせよ、これから起こる変化にキャッチアップできなくなっても、何らかの痕跡は残していけるように継続して行こうと思います。

コメント

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